CPEPの設立目的

 NPO法人CPEPは、広く一般市民、医療機関及び医療従事者などに対して、個々人ごとの健康や疾患の度合いを診断する技術を向上させることによる個別化医療の改善と、その啓発及び普及に関する事業を行うことにより、国民の健康の増進と医療技術の発展を図り、広く公益に寄与することを目的とし、活動しております。
 CPEPは個々人ごとの健康や疾患の度合いを診断する技術を向上させることで、より豊な社会にできると信じています。健康で安心な暮らしを個々人ができるだけ続けられるように、たとえ疾患にかかっても、できるだけ早いうちに状態を見分けられれば治療の改善効果も高くなります。

 個人の健康状態や病疾患の様子を診る(みる)ためにさまざまな画像診断装置が開発されてきました。 超音波検査・CT(シーティー)・MRまたはMRI(エムアールまたはエムアールアイ)などの検査のことを聞いたことがある、または検査を受けたことがある方もいらっしゃるでしょう。医療機器の中でもこれらは画像診断と呼ばれています。疾病(病気)を判断するには、このほかの診断方法もあります。たとえば医師が症状をお聞きする「問診」や、血液や尿を採らせていただいて検査する「生化学検査」、たとえば粘膜のかけらを採取して行う病理検査、最近では遺伝子も検査できるようになっていますし、多くの検査方法が開発されてきました。

画像診断の利点は体の中が診断する者に見えることです。これは大きな進歩です。安全に体の中を見る、そして診ることができます。
CPECは画像診断にかかわる仲間が立ち上げたNPOです。
私たちは画像診断を皆さんにもっとよく知っていただくことが大変重要だと考えております。

CPEPの沿革

平成21年9月29日 設立総会開催
平成21年10月21日 神奈川県にNPO設立認証申請
平成22年1月26日 神奈川県からNPO認証される。
平成23年5月25日神奈川県から東京都に移転。東京都からNPO認証される。

代表者からの一言

理事長 山口敏雄

Personalized Information(個別の生体情報)を基盤としたPrecision Medicine(正確な医療)を目指して:
オバマ大統領の一般教書演説(2015年1月20日)の中で、Precision Medicine(正確な医療)を今後率先して行うこと(Initiative)が述べられました。Precision Medicineとは“個々の異なる生体情報”を基盤に予防と治療を行う医療・医学です。“個の生体情報”の知見は、近年著しく進歩してきました。この背景には、21世紀の幕開けとともに、ヒトの遺伝子情報(ゲノム情報)が全世界的な共同研究により解明されたことを嚆矢として、病気の原因を特定する手法の進歩(タンパク・代謝・遺伝子・分子細胞解析さらにはモバイル情報による生体情報のリアルタイムの取得)そしてこれらのビッグデータを解析可能とするITの進歩があげられます。最初の疾患群としてはがんと糖尿病がターゲットですが、今後あらゆる疾患が対象となるでしょう。これから必要なことは、“個人の異なる生体情報”を基盤としたPrecision Medicine(正確な医療)の研究を行い、臨床の現場に応用して、人類の健康に貢献することでしょう。この中で我々画像診断医は専門とする画像診断情報(PET,MR,CT)などをバイオマーカー(生体情報の評価指標)の1つとして、位置つけるための活動が北米放射線学会(RSNA)を中心に、QIBA(Quantitative Imaging Biomarker Alliance)として取り組まれています。画像診断情報は日常の診療だけではなく新規治療技術や治療薬の評価指標として、臨床においても基礎動物実験においても不可欠なものとなっています。この開発は医療研究者のみでは克服できるものでなく、ボーダーを超えて、他の分野の研究者・関係企業・製薬企業・行政・患者さんなどすべての人々が関与する研究分野です。また同時に日本のみならず、世界のグローバルな研究者とも知識アイデアの共有、開発 ”Knowledge Network” が必要な学際的かつ国際的な分野です。 1つの例として、私が現在かかかわっているMRIガイド下の集束超音波視床破壊術があります。これは本態性振顫という手のふるえにより、日常生活ができなくなる機能性の脳疾患に対してMRIで正確に脳の一部をピンポイントで5mm程度の焼却術を施行するものです。MRI画像による正確な治療計画、術中の温度測定とcomputerによる自動制御チェック機構さらには直後の臨床評価が可能という点で、Precision Medicineの1つといえるもので、緻密なIT技術と人間の叡智と経験の協働が不可欠と感じています。これはアメリカのFDA認可の世界の共同治験であると同時にこのような機能的疾患に対する治療が目に見える画像下に行われているということに、深く感銘をうけています。今後は癌、梗塞のみならず運動障害、痛み、精神障害といった分野においても画像診断を基盤に治療がおこなわれるでしょう。 CPEPは過去5年間、この個別化医療そしてPrecision Medicineにおける画像診断の推進・教育の観点から日本のアカデミックな大学放射線診断医を中心として、活動してきました。主な活動はStanford大学放射線診断部門との研究成果交流とハワイでの協働による卒後教育セミナー(CME)の実施です。このCMEは毎年発展して、現在では約100人の世界から参加者があります。今後もGlobal Medical Imaging Communityの一員として日本人研究者、講師の支援を持続したいと考えます。今後とも皆様方のご協力とご支援をお願いする次第です。 

初代理事長 栗林幸夫

個別化医療(テイラーメイド医療、Personalized Medicine)という言葉をみなさまはお聞きになったことがあるでしょうか?これは、21世紀の幕開けとともに、ヒトの遺伝子情報(ゲノム情報)が全世界的な共同研究により解明されたことにはじまる大きな医療の進歩の最初のステージです。
 個別化医療では、“患者さん”が持っているある特有の遺伝子特徴、病状・病態に関連する分子やその遺伝子変異などの情報を総合的に分析して、治療効果を最大化しかつ有害反応を最小化することを目指しています。遺伝子情報という、新しい個の情報が得られることにより、患者さんと疾病を集団としてとらえるのではなく、臨床医は,患者さんを一人一人の個々の対象としてみること、そして疾患の診断をより層別化(わかりやすく言うとクラス分け)して治療を試みようと努力しています。
 この遺伝子診断の進展やがんの特異的血清マーカーの発見など、さまざまな研究成果がもたらされていますが、これをサポートする画像診断技術(特に超音波、CT、MRI、ラジオアイソトープ診断)も、技術の革新、装置の発展、造影剤の開発などにより飛躍的な性能の向上を遂げています。画像診断は、1895年のレントゲン博士のX線発見によるX線診断に始まり、超音波診断、CT(コンピュータ断層)診断、ラジオアイソトープ診断が1960年~1970年代に医療現場で使われ始めます。さらに1980年代にはMRI(磁気共鳴画像)診断が登場し、これらの進歩した画像診断技術が様々な医療現場で使われており、いまや個別化医療においてもなくてはならない診断技術となっています。しかし、個別化診断の検討対象が、個々の診断技術に限られており、それらを総合的に評価する検討がまだ現段階では未成熟と考えています。前述の画像診断技術やその他の診断手法は、各々異なる原理や特徴に基づいているため、各々異なった情報が得られます。個々の患者さん(あるいは健康な人)ごとの疾患状態や特徴、身体的傾向などを把握するためには、疾患の性状や性質、患者さんの遺伝情報、体質、環境要因などさまざまな要素を評価する必要があり、これらは各々異なった情報が得られる各診断技術の総合的評価なくしては成しえないものと考えています。
 これらを踏まえ、私たちは、個別化医療実現のために、内外の医療従事者・医療機関、企業、行政、市民など幅広い参加と協力を得て、画像診断を中心とした、診断の統合化とその評価体系、さらにその有効活用に向けた調査研究事業、普及のための教育、啓発活動などのために、「特定非営利活動法人 個別化医療推進・教育センター」を設立することと致しました。皆様とともに、新しい時代の健康と幸福な生活を得るためにともに歩みたいと存じます。

CPEPの歴史

ハワイでの日米(Stanford大学と日本人の講師)協働による放射線診断卒後教育セミナー(CME)の歴史(1998年〜現在まで)とNPO法人個別化医療推進教育センター(CPEP)の活動と役割(2010年〜現在まで)

ハワイでの日米協働放射線診断CME(主に米国の一般放射線診断医を対象とした卒後教育セミナー)が1999年に開催されて来年(2018年3月)で20回目を迎えるのを機会にこの活動の歴史、裏話とCPEPの活動内容をご報告したいと存じます。

1)黎明期、発展期 1998年〜2005年
最初は、1998年2月の長野オリンピックに遡ります。故Gary Glazer先生が、日本を訪問され、GEHCの学術部門の田頭芳樹氏と日本のAcanemic UniversityとStanford 大学との協働事業の提案がありました。翌年の1999年3月に、大阪大学の前教授中村仁信先生との協働で、第1回のCMEがStanford大学の主催(GEのサポート)で、ハワイのカウアイ島で、開催されました。この時は日本側から、村上卓道先生と上甲剛先生がfacultyとして、参加され、大成功でした。この協働CMEは2000年に1回のみサンフランシスコで開催されましたが、以降はハワイのマウイ島とカウアイ島で、毎年3月後半のspring breakに開催され,参加者も増加してきました。最高は145人と記憶しています。日本側からも、東大大友邦前教授、慶應大学栗林幸夫前教授も参画され拡大して、日本全国の有能なスタッフが毎年質の高い講演をハワイで提供してきました。

2)成熟期、転換期 2006年〜2011年
しかしながら、2006年ごろよりStanford大学の当時のDeanがハワイでのCMEを認めない方針を打ち出したことと、Glazer先生のガンが発覚して、将来構想を練り直す必要に迫られました。栗林教授、大友教授、冨山教授とも相談して、日本側の窓口として、NPO法人個別化医療推進教育センター(CPEP)を立ち上げることが、この活動の継続、発展、永続性につながると判断して、2010年に設立しました。Stanford大学の主催のCMEは2011年3月が最後で、この年の10月にGlazer先生は逝去され、同年9月に現在のガンビア先生にchairmanが交代となりました。CPEP主催で、2011年の3月にハワイで、8月にはStanfordでworkshopを開催して、研究動向と今後のCME運営をお互いに検討討議しました。この時の経緯はGE Today(別に添付)に詳細に報告していますが、Glazer先生のLegacyとして、このCMEを存続発展させることが残された日米の放射線科医の“宿命”であることをお互いに確認しました。

3)CPEP主導期、 2012年〜2017年 (別に開催時期、参加者、演者と講演名を添付;のべ日本人講師42名、Stanford大学35名を招聘教育講演)
この6回はCPEP主催で、ハワイCMEを継続して、大きく発展してきました。期間は従来の5日間を4日に短縮しコンパクトにして、同一のテーマで、日米間で補完しあうというフォーマットにしました。これにより、お互いの違いと共通性を認識できるように意図しました。この間はCPEPがStanford facultyをinvitationするという形で、CPEP理事長も初代栗林先生から2代目冨山先生そして、2015年からは私山口敏雄が引き継いでいます。Stanford 側の著明なLeung先生, Federle先生にcourse directorならびにfacultyとして、盛り上げていただき感謝しています。実質的な運営は旧知のKathy MarshのCME Scienceにお世話におり、直近の2017年3月には7か国から115人が参加しました。

4)新たな出発に向けて
2017年3月にハワイで、Chairmanのガンビア先生とこのハワイCMEの将来を検討討議して、Stanford 大学Radiologyが新たにCME部門を設立すること、担当チーフにRiley先生が担当することになりました。つまりStanford Radiologyが積極的にCME活動を再開すること、その1つの事業として、ハワイでのCPEPとの協働によるCMEを発展していこうというものです。来年の2018年3月マウイ島での通算20回目の会合はこの意味では新たな出発の集まりと認識しています。2017年8月に、StanfordでRiley先生と打ち合わせのkick off meetingを持ちました。今後、定期的なProgram committeeを持つことで意見が一致しました。
この20年間日本人講師はのべ100人の方が英語での講演(約30分)をされ、とても好評でした。また何人の方々は実際に研究留学されて、ご講演もお願いいたしました。つまり、教育と留学研究ということで、情報交換,協働事業を継続しています。家族のような繋がりで、お互いの交流、CME-Hawaii communityを築きあげ、日米間で楽しみながら協働教育、研究活動を継続しています。今後も、Personalized and Precision Medicineの発展のために、教育と啓蒙活動を邁進していきたいと思いますので、皆様方のご指導、ご鞭撻、ご援助をお願い申しあげます。

5)コロナ後の新しい時代に向けて
2018年、2019年の3月はハワイでのCPEPのCME会合は参加者も約100人と盛況で大成功でした。しかしながら2つの大きな事件がおこりました。1つはご存じのごとく、2020年からの世界のコロナの蔓延です。このため、2020年はハワイのCME会合は中止とせざるを得なくなり、2021年はウェブ開催のみ、2022年はハイブリッド開催となりました。すなわち現地とウェブ講演による形式です。この2年間は日本からの現地参加はありませんが、ウェブ講演にて参加しました。2022年3月のハワイCMEでは米国からの現地参加者は65人と回復しています。もう1つの出来事は2020年7月18日にガンビア先生がご逝去されたことです。グレーザー先生、ガンビア先生と1990年より30年間この2人の強いリーダーシップでStanford大学の放射線診断部門は発展してきましたので、この2人の早すぎる逝去はとても大きな損失でした。
しかしながら、この2人のLegacyを引き継ぐべき新しい主任教授に2022年4月に既知のGold先生が就任されました。2023年3月はカウアイ島にて、CPEPとStanford大学による新しい形のCMEが開催される予定です。(予定プログラムは別記記載)今後も新しい形での発展した国際交流が開催されるものと確信しています。

NPO法人個別化医療推進教育センター(CPEP)理事長 山口敏雄
2022年7月17日 記

定款

CPEPの定款は、東京都のNPO法人関連ページよりご覧になれます。
http://www.npo.metro.tokyo.jp

運営メンバー

役名 氏名
理事(理事長) 山口 敏雄
理事(副理事長) 大友 邦
理事(副理事長) 富山 憲幸
理事(副理事長) 陣崎 雅弘
理事 新本 弘
理事 田頭 芳樹
監事 奥田 茂男
監事 可知 謙治

会員になるには

CPEPの会員は2種類定めています。以下の会員種類の中から選択の上お申し込みいただきたくお願いいたします

種類 属性 対象 入会金 年会費
正会員 特定非営利活動促進法上の社員 個人 無し 5,000円
賛助会員 非社員 個人・団体 無し 100,000円

賛助会員に申し込みされる方は下記の連絡先に恐れ入りますがご連絡お願いいたします。
正会員(個人)の申し込みは「会員登録画面」から申し込んでいただけます。
※氏名、御所属、住所、連絡方法(電話、Fax、Eメール)をご記入ください。

◆ E-mailでお申し込みされる場合

yamaguchicpep@gmail.com
NPO法人個別化医療推進・教育センター(CPEP)
理事長 山口 敏雄まで